国内FX自動売買するならMT4?それともMT5?そもそも何がどう違うの?

MT5とMT4のバックテストにおける再現性の違いについての詳細レポート

1. はじめに

FXの自動売買において、バックテストの再現性は非常に重要です。EA(エキスパートアドバイザー)が過去の相場でどのように動作したかを正確にシミュレートできることは、リアル運用の信頼性に直結します。

ここでは、MT4とMT5におけるバックテストの技術的な違いと再現性の差について詳しく解説します。

2. MT4MT5のバックテストの比較表

項目MT5MT4
ティック生成方式実際のティック履歴(リアルティック)に基づく再現が可能疑似ティック(OHLCベースで擬似的に生成)
スプレッドの扱い実際のスプレッド変動を反映(リアルに近い)固定スプレッド(ユーザーが設定)
マルチポジション対応✔ 複数ポジション(ヘッジ・同時エントリー)に完全対応✖ 単一ポジションのみ(FIFO型の制約)
最適化機能マルチスレッド+クラスタ処理対応で高速かつ精密シングルスレッドで時間がかかる
スリッページや滑りの再現可能(リアルティックで滑りや遅延なども忠実に反映)基本的にスリッページの再現は不可
ティックの信頼性ブローカーサーバーに保存されている実際のティックを利用可能ティックデータの正確性は不十分(追加ツールで補完する必要あり)
複数通貨・マルチタイムフレーム同時処理可能(クロス通貨EAや相関戦略にも対応)不可(1シンボル1時間足に限定)
リアル運用との再現性◎ 非常に高い△ 中程度~やや乖離あり

3. 技術的な解説:再現性の違いの本質

■ MT4の再現性が劣る主な理由

  • 「全ティック」モードでも、ローソク足データから疑似ティックを生成しており、実際のヒゲや変動の細かさは表現できません。
  • スプレッドは固定であるため、指標発表時や深夜などのスプレッド拡大を反映できません。
  • スキャルピングEAや高速ナンピン型ロジックなど、ティック単位の細かい処理が求められるEAには不向きです。

■ MT5が圧倒的に優れている理由

  • リアルティックモードでは、サーバーのティック履歴をそのまま使えるため、滑り・価格ジャンプ・ヒゲの急変動も忠実に再現可能。
  • 複数のポジション管理やマルチシンボル戦略もサポート。
  • 実際に発生した市場状況(スプレッド拡大やラグ)を反映できるため、バックテスト結果とリアルの乖離が非常に小さくなる。

4. まとめ:どちらを選ぶべきか?

目的推奨プラットフォーム理由
裁量トレードの練習・簡易的検証MT4操作が軽く、PC負荷も小さい
本格的なEA開発・実戦向けの再現検証MT5高精度なティック再現、スプレッド変動の反映、処理速度

MT5のバックテストモードにおける「リアルティックに基づいた全ティック」についての詳細レポート

1. 概要

MT5の戦略テスターでは、次の3つのモードが選べます:

  1. オープン価格のみ
  2. 全ティック(OHLCから擬似ティック生成)
  3. リアルティックに基づいた全ティック(推奨)

ここで注目すべきは「リアルティックに基づいた全ティック」。このモードは、実際にブローカーが配信した全ティックデータを再現しながら、EAを検証する最も精密な方式です。

2. 他モードとの違い(比較)

モードティックデータスプレッド再現実運用との一致性処理速度備考
オープン価格のみ1バーの始値のみ固定のみ非常に低い非常に速いロジック確認用
全ティックOHLCデータから疑似生成一応可変に設定可中程度ヒゲなどは正確でない
リアルティックに基づく全ティック実際の全ティック履歴を再現実際に即した変動非常に高い遅い最終チェックに最適

3. なぜ「テスト条件が厳しくなる」のか?

  • ヒゲや急変動が正確に反映されるため、SLやTPに触れやすくなる
  • スプレッド拡大・縮小がリアルに反映されるため、TP未到達やSL貫通も起きる
  • 一瞬の跳ね返り・約定遅延・滑り(スリッページ)などの挙動も起こる

これにより、EAの勝率が落ちる/DDが大きくなるなど、甘いテスト結果が覆されることもあります。

だが、それこそがリアル運用の精密なシミュレーションです。

4. 活用のコツ

  • 最適化やロジック開発段階では「全ティック」でもOK(高速)
  • リリース前・本番稼働前の最終確認では必ずリアルティックテストを実施

5. 注意点

  • 非常に重い処理になるため、VPSまたは高性能PC推奨
  • ブローカーによってはリアルティックデータが限定的な場合もある(→ ExnessやXMは比較的豊富)

6. まとめ

  • MT5の「リアルティックに基づいた全ティック」は、最も信頼性が高く、実運用と一致しやすい
  • 条件が厳しくなる分、「勝てるEAかどうか」がはっきり見える
  • スキャルピングや高頻度ナンピン、逆張りロジックなどでは、特に有効

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