シリーズ「AIで自作のEAを作る」第4回
ゴールデンクロスで買ったら、そのまま下げて損切り。デッドクロスで売ったら、すぐ戻して損切り。移動平均クロスのEAを動かすと、必ずこれが起きます。
いわゆるダマシです。この記事では、ダマシを減らすためにインジケーターを1つ足すとしたら何を選ぶのか、そしてその選び方をAIにどう聞くのかを手順にします。
プログラムは書けなくて構いません。聞き方だけの話です。
この記事の内容は動画でも話しています。実際の画面を見ながらのほうが早い方はこちらから。
なぜ移動平均はダマシを出すのか
移動平均は、過去の終値を平均した線です。過去を平均している以上、必ず遅れます。価格が動いてから線が動くので、クロスが出た時点では動きが終わっていることがあります。
そしてもう一つ。値動きが行ったり来たりしているとき、2本の線は何度も交差します。そのたびにドテンすれば、往復のたびに削られます。
移動平均クロスの弱点は「遅れること」と「レンジで往復すること」の2つ。足すべきものは、このどちらかを埋めるものになります。
ここを先に押さえておくと、AIの答えが妥当かどうかを自分で判断できるようになります。
手順1:AIへの聞き方を変える
まず、効かない聞き方から挙げます。
このEA、もっと勝てるようにして
これを投げると、パラメータをいじった案が返ってきます。前回書いたとおり、パラメータをいじって成績が上がるのは当たり前で、それは当たりくじを引き直しているだけです。
効く聞き方はこちらです。
移動平均クロスのEAを作っています。
弱点は「遅れること」と「レンジで往復すること」だと理解しています。
MT5に標準で入っているインジケーターの中から1つだけ選ぶとしたら、
この弱点を最も補完できるのはどれですか。
・候補を3つ、理由つきで挙げてください
・それぞれが「遅れ」と「往復」のどちらを埋めるのかを分けて書いてください
・組み合わせたときに増える副作用も書いてください
違いは3つあります。弱点を自分の言葉で先に定義していること。選択肢を1つに絞らせていること。副作用を必ず書かせていること。
とくに3つ目が効きます。これを書かないと、AIは良いことしか言いません。
手順2:返ってきた候補を、役割で仕分ける
この聞き方をすると、だいたいこのあたりが返ってきます。鵜呑みにせず、何を埋めるものなのかで仕分けてください。
| 候補 | 埋めるもの | 副作用 |
|---|---|---|
| RSI | 行き過ぎたところでの逆張り的なフィルタ。往復の一部を止める | 強いトレンドで張り付き、乗るべき場面を外す |
| ストキャスティクス | RSIより反応が速い。短い往復に効く | 反応が速いぶん、これ自体がダマシを出す |
| ADX | トレンドの強さを見る。レンジそのものを避ける | 閾値の決め方次第で、取引がほぼ出なくなる |
| ATR | 値幅の大きさを見る。動いていない時間を外す | 方向は判断しないので、単独では足りない |
| 上位足の移動平均 | 大きな流れに逆らわなくなる | エントリーが減り、遅れがさらに増える |
「レンジで往復する」のが一番の悩みなら、ADXのようにレンジかどうかを判定するものが筋です。RSIやストキャスティクスは往復の一部しか止めません。
ここは好みで選んで構いません。大事なのは、何を埋めるつもりで足したのかを自分で言えることです。
手順3:1回に1つだけ足す
ここが一番やってしまいがちなところです。
候補が3つ出てくると、全部足したくなります。やめてください。3つ同時に足すと、成績が変わったときにどれが効いたのか分からなくなります。
- 今のEAの成績を記録する(損益・PF・取引回数・最大ドローダウン)
- 候補を1つだけ足す
- 同じ条件で回し、4つの数字を比べる
- 良くなったら残す。変わらないか悪くなったら外す
- 次の候補に進む
地味ですが、これをやらないと後で何も分からなくなります。
手順4:1分足のデータを入れてから判断する
フィルタを足したかどうかを判断するには、バックテストの精度が要ります。
MT5の標準のバックテストは、設定によっては始値だけで計算します。速いので当たりをつけるには向いていますが、フィルタの効き方のような細かい差は見えません。
1分足のデータを取り込むと、そこが変わります。取り込み方が分からなければ、これもAIに聞けば手順が返ってきます。
MT5で1分足のヒストリカルデータを取り込んで、
それを使ってバックテストする手順を教えてください。
私はプログラムが書けないので、画面の操作手順で説明してください。
「私はプログラムが書けないので、画面の操作手順で」という一言を足すのがコツです。これがないとコードで返ってきます。
このEAも記事も、AIと一緒に作っています。私はプログラマーではありません。MT5のEAもインジケーターも、Claude(AI)と対話しながら作っています。コードが書けなくても、作りたいものを言葉にできれば形になります。無料でも使えるので、同じように「作る側」に回ってみたい方は、こちらから試せます。
https://claude.ai/referral/sWCPCcvVWQ
※紹介リンクです。どのプランを選ばれても、私に利害はありません。
手順5:良くなった気がしたら、必ず疑う
フィルタを足して成績が上がったとします。ここで喜んで終わると、前回と同じ穴に落ちます。
フィルタを足すという行為は、条件を増やすことです。条件が増えれば、そのデータへの当てはめは必ず良くなります。乱数のチャートでも良くなります。
とくに気をつけるのは取引回数です。フィルタは取引を減らします。減った結果として勝率が上がっても、母数が小さくなっただけかもしれません。
| 見るもの | フィルタ追加後にすること |
|---|---|
| 取引回数 | 減りすぎていないか。数十回まで落ちたら判断できない |
| 別データ | 最適化に使っていない期間で成績が保たれるか |
| パラメータの周辺 | 閾値を少しずらしても崩れないか |
| 乱数ベンチマーク | 乱数データに同じフィルタを足しても良くならないか |
この4つの詳しいやり方は前回の記事に書きました。フィルタを足したあとこそ、ここに戻ってください。
MT5に最初から入っているものを見てみる
新しく何かを買う必要はありません。MT5のナビゲータを開くと、トレンド系・オシレーター系・ボリューム系と分かれてインジケーターが入っています。
私が好きなのはビル・ウィリアムズ系です。アリゲーター、AC、AO、フラクタル。この4つでロジックを組んだこともあります。
名前が分からないものは、そのままAIに聞けば答えます。「MT5のナビゲータにあるビル・ウィリアムズのフォルダの中身を、それぞれ何を見るものか説明して」で十分です。
まとめ
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1 | 弱点を自分の言葉で定義してから聞く。副作用も書かせる |
| 2 | 候補を「遅れを埋める/往復を止める」で仕分ける |
| 3 | 1回に1つだけ足して、4つの数字を比べる |
| 4 | 1分足データを入れてから判断する |
| 5 | 良くなったら疑う。とくに取引回数 |
移動平均だけのEAは、そのままでは勝てません。それは分かっています。大事なのは、何を足せば何が埋まるのかを自分で説明できる状態で足すことです。
説明できないまま足したものは、成績が落ちたときに外すこともできません。
動画で言い間違えた数字の訂正
- 移動平均の期間を「30と70」と話していますが、配布しているEAのデフォルトは短期10・長期30です
- 987通りの平均損益は「マイナス885」ではなく −88.5
- 中央値は −77.8、プラスになったのは 79通り(8%)
- 110ドル×160円は「2万円」ではなく 約17,600円
この記事を誰が書いているか
この記事の文章は、動画の文字起こしをAIに渡して書かせたものです。私は1語も打っていません。
その仕組みと、丸投げとどう違うのかは、noteのほうに書きました。
※シリーズの過去回はこちらです。
第1回:プログラムが書けない私が、AIと30分で「移動平均線だけのEA」を作った全記録
第2回:AIに「お世辞を言うな」と書いたら、EA作りが進むようになった話
第3回:乱数で作ったニセのチャートでEAを987通り試したら、ちゃんと「勝てる設定」が見つかった
使用ブローカー
MT5を使うには口座が必要です。私が使っているのはExnessです。口座開設はこちらから。
https://one.exnessonelink.com/a/frbss95cj4
お問い合わせ
公式LINE:https://lin.ee/9yDXJ19
メール:ea-designer-kuu@hashibito-llc.com
免責事項
本記事は情報提供および技術解説を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。本記事で紹介するEAおよび検証手順は学習用のものであり、収益を保証するものではありません。バックテストの結果は将来の成果を保証しません。FX・CFD取引には元本を割り込むリスクがあります。取引の最終判断はご自身の責任で行ってください。
EA Designer Kuu

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